June 2024

先日 知人に「最近絵がうまくなりましたね」と言われ内心「これは少々マズイナ」と思いました

高校一年生の夏休みが終わった時 私が入っていた美術クラブの生徒の作品が学校の廊下に飾られました
その中に私の絵は見当たらず 同級生の友人が描いた油絵の「ヒマワリ」が見事な仕上がりで「すごい!」と感じ ジッと眺めていました

その時 後ろで誰かが「舟橋さんの絵の方が上手なのに どうして先生は舟田さん(私の旧姓)の絵を図書館に飾ったんだろう?」

急いで階段を駆けあがりました 図書室の正面に額装した私の「妹達」の絵が飾ってありました

3才位の妹が下の妹1才を抱いてエンコしています
上の妹の着物は茶色 下の妹は赤 両方とも無地の着物で 床には畳が無くムシロを敷いていたのですが
そこは見栄を張って黄色にし黒で畳の縁まで描きました

クレパスで描いた絵です

着物の色は柄を省略したのでは無く有り合わせの生地で母が縫ったものでした

現在は毎日絵を描き続けているので「旨くなりたい」と感じてしまうことがあります

この誘惑を忘れ今の自分の内面を見ることに集中しなければと思い直します

6月20日 不二子


「絵って何んだろう?… 発表された絵はどんな働きをするのだろう?」

「次ぎ次ぎ描きたくなるのは何故?」… 私は最近は眠っている時 夢の中でも絵ばかり描いています

「自分自身の存在を確認し肯定する作業か?」

「それとも こんなに美しいものが作れるという自己満足の為か?」…問い続けます

今 樹々は一年のうち一番美しい新緑の季節です

この緑を観て美しいと感じるのは彼らが発出する“気”の力だと思うのです

以前「野バラ」を描いた大きな絵を老人施設が引き受けてくれたことがあります

寝たきりの方々が過ごす広い部屋の真ん中に立つ柱にその絵は掲げてあり

その野バラが澄んだ空気を出し続けているのを見たことを急に思い出しました

クヨクヨせずに自然の美しさを明日も描きたいと思い直したりもします

不二子