February 2023
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私より少し年上の友人から聞いて 今も忘れられない話があります
彼女の父親は満鉄の仕事をしていたので 敗戦の時 彼女達は満州の最北端にいたとのこと

 
 

戦争終結の直前 河の向こう岸にロシアの戦車が沢山集結し 敗戦と同時に河を越えて来て 父親達は拉致され 何の消息も無い儘になってしまったそうです

母親 彼女とその妹は夜だけ歩いて やっと引き上げ船に辿り着き 日本に帰り 母親の実家に向かう汽車に乗ったのに「日本に居る」ということが どうしても実感出来ず…

 
 

ただ車窓から景色を眺めていたら 農家の庭先に柿が実っているのを見て その瞬間「日本に帰った」と気付いたそうです
農家の庭にある朱色の柿を見る度に この話を思い出します 今 私は 里山の風景を眺めていることを幸せに思い この景色が私達の心の平安にとても大切なものだと思うのです

 
 

今年は「淺間山麓」に加えて「里山便り」も沢山描こうと思っています

2023年が去年より良い年になりますように

 
 
 
 
 

不二子