「もう少しグリーンを塗るか」と右手が 絵の具チューブのキャップを摘みあげたら 左手はサッと出てきてチューブを握ります 頭が「もっと絵の具を出さないと足りない!」絵の具がパレットに絞り出されるや 左手は スッと椅子のひじ掛けの上に戻りまた
「茎の線を一気に引こうかな」と右手が筆に絵の具をつけて 身構えたら 左手はすかさず 製図台の上にある紙を押さえ 右肩の力を左手の方に引き寄せて 右手を軽くしてやります
頭が出てきて 右手に向かい「色が青っぽいぞ!もっとイエローオーカーを!」
頭はその時50年前 アトリエの兄弟子が「グリーンや黄色、赤、にはイエローオーカーを混ぜて使うとオリベッティ(当時 イタリアのオリベッティ社、タイプライターの広告がとても美しかった)の色になってキレイだぞ」と言っていたことを思い出していたのです でも 右手は頭の忠告を無視して色を塗り続けています
また 頭「ハイライトが強すぎる」右手「ハイライトはこの位あっても良い・・・」頭「影をもっと暗くしろ」右手「でも暗くすると印刷に廻った時 汚くなるからあんまり暗くしない方が・・・」
頭と右手は一日中言い争いを続け 左手は黙った儘 出たり引っ込んだり 結構忙しく働いている と気付きました