森瑤子さんの『千夜一夜』という短編集の中に「魔法の効力」という話があります。
――きこりの夫婦に不器量な女の子が生まれました。
祝福にかけつけてくれた森の仙女に「何とかなりませんか?」
「持って生まれたものは、私にも変えることは出来ないのですよ」 でも、「私にも出来ることは、ひとつあるわ。特別の魔法の能力をこの子にあげましょう。この子が大人になった時、愛した男を世にも美しい男に変える力よ」
女の子は21歳になり、美しい若者と出会いました。
「ステキな鼻、ひき締まった口元・・・」 でも、両親が会ってみると、口元に締まりのない、だんごっ鼻の男――
大学生だった我が娘がちょうど現在の彼女の夫と出会った頃で、とても素晴らしいひとだという話を聞かされたので、早速この短編を送りました。「我が家の子供たちにもひとり残さずチャント仙女さまがいらしてくださったみたいね」と書き添えて。
先月の軽井沢便りで紹介した川路庸山から文化村展(11月3日−9日)に彼が出品する花器の名前が決まったという電話がありました。壷の方は「水路」、長方形の花器は「採光」とのこと。「良い名前ねぇ」
「不二子さんは、元気ですか?」
「ええ、昨日は、『今月のチョコ』の撮影に行ったのよ。今回はご近所に住む仲良しのアレックスを誘って一緒にドッグランに行き、『チョコの友達』って2匹の顔をくっつけたアップを撮ろうと思ったのに・・・アレックスが50センチ以内に近づくとチョコが『ウゥー』って怒るから彼はずっと離れていたの」
と、庸山「チョコは恥ずかしかったのかな。」
私「えー?あなたは若いからそんな錯覚を起こすのよ。チョコはただ嫌だったんでしょ!」
この時、突然、私は「魔法の効力」を失ってから50年近くが過ぎてしまったと気付きました。
今、28歳の庸山にも、誕生の日、仙女さまが祝福にいらしたんだなぁー。そして彼にはまだ魔法が効いているんだなぁーと少し羨ましい気分になりました。 (11月1日)
|