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あなたへ ある日 突然、軽井沢は落葉の美しい季節から真冬になります。 庭に小さな実がなるリンゴの木があり、その木の下に幾粒か落ちている紅玉色をしたリンゴを拾って齧ります。これは私が毎年する冬を迎えるための儀式のようなものです。 旧約聖書のアダムとエバのエピソードを思いながら齧って、芯を放り投げます。エバがリンゴを食べ、アダムにもそれを勧め、アダムが齧ったとたん緑豊かな地は一変、冷たい風が吹きすぎる荒野と化す・・・ 何年か前、私がリンゴを齧って放り投げたら、本当に、旧約聖書の物語と同じようにその夜急に寒くなり、次の朝、すべて真っ白、霧氷の世界になっていた・・・という記憶があります。 仄暗い枯野の景色は私の内側にも現れます。その無彩色に近い風景を眺めていると、過ぎた日の忘れられない出来事の数々が黒い土の上に置いたローソクの光りのように、点々と遠く暗い彼方まで続いて見えます。 忘れたくないあの瞬間のローソク、悲しんだ時間のローソク・・・身近に思い返していた出来事はもう一年前の事になってしまったのか・・・そしてもうすぐ年が変われば一昨年の出来事になり、遠い記憶のひとつになって私から遠ざかってしまうのか・・・ 楽しい光は何年かすると消えてしまい、思い出すこともないのに、悲痛に光るローソクはなかなか消えません。新しい年が来てしまう前に、引き返せるものなら、今、駆け戻って、悲しみのローソクを手にとって、光が弱くならない前に、新しいローソクに取り換えたいと切望してしまうのです。 楽しい思い出よりも悲しみ痛んだ記憶の方が、忘れ難くそして懐かしい・・・ 2010年という1年はあなたにどんなプレゼントをするのでしょう。豊かな“なにか”を受け取られることを念じあげます。 良い年をお迎えくださいませ。不二子 《 Fabulous ! 》 ファッション誌の秋号を見ている時、フッと目が止まった頁がありました。 こまかい花柄のワンピースを着た若い人が、パリの花屋さんで薄いピンクの大きなバラの花束を受け取っている情景です。服装は私が若かった頃に近く、随分古い感じだけれど、あの頃の雰囲気よりスイート ロマンティック過ぎる色調の絵を描いてみたいと思い立ったのが今号の作品です。2010年2月はじめ更新の次号では、Where I Live (part2) を見て頂きたいと存じます。 黒を基調にして、現在、寒い軽井沢で制作中です。
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