軽井沢の紅葉は、まず桜から。そして、丈の高いカラ松などはまだ濃緑なのに、森の中のうるしの葉が黄色くなり、つたうるしは、黄色から朱色に変色して・・・。急に明るくなった森の眺めに、「こんなに、うるしが多かったの?」と驚かされます。桂の木は、金色小判がさやさやと降って来そうな様子で、木の近くに行くと、
  「あ、桂が匂っている」
 「え、どこに・・・」
 「あ、匂った」
 風の中にフッと幻影のように香ります。その匂いは、桂という名前からは想像しにくい、醤油と砂糖を鍋で焦がしたような匂い・・・。でも、葉を摘んで顔を近づけても、なにも匂わないのです。

 緑色だった木々の葉が散る前に、こんな風に真赤や黄色に変色するのは、なぜなのでしょうか・・・。どんな説明を受けても、納得できない気持ちで毎年のことながら「紅葉は魔法だ」と思うのです。


 

 


 子供の頃、青い空や走る雲、そして真赤な夕日に見とれながら、自然の魔法に魅せられていたことを心のどこかで反芻しています。ひとも、その晩年の時に、壮年期とはまったく違う色に美しく変身できたらどれほどか楽しいでしょうに・・・。私だったら、レモンイエローになるか、渋く決めてうす茶色か。それとも思いきって、真赤にするか?迷いどころです。

 10月中旬、紅葉に未練を残しながら、鎌倉に戻りました。11月は、個展です。(2002年11月1日)

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